今年で9.11から10年が経ち、当時の記憶は薄れている。こうして文章を書く機会があり、振り返 っていると少しずつ記憶が蘇ってきた。
当時高校生だった僕はジャンボジェット機がワールドトレードセンターに突っ込み、高層ビルが 崩れていく様子。まるでハリウッド映画やプレイステーションのゲームの様な光景になぜか現実 味を感じられずにいた。そもそも4機の航空機を同時にハイジャックし、高層ビルに突っ込んで ぶっ壊してしまおうという発想がフィクションである。だが、フィクションの様な計画はたった 19人の精鋭によって実行されてしまった。ある程度熟練した人間が揃えば、同じ様な事件が起こせてしまうとんでもない世の中になったのだと、高校生ながらに思った。
また、僕のフェイバリットなバンド「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(以下RATM)」の楽 曲全てが「テロを考慮に入れると歌詞が不適切である」ためアメリカ大手のラジオネット企業 Clear Channel Communicationsによって放送自粛された事にショックを受けた(RATM以外ではジ ョン・レノンの「イマジン」、ルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界」等約160曲が 放送自粛とされた)。RATMはマルコムX、キング牧師、チェ・ゲバラなど左翼的思想の影響が色 濃く、反体制的なメッセージ性がかなり強いため、9.11が起こった場所が日本であれば自粛の理 由は理解できなくはない。ただ、小さい頃からずっと「自由の国」と国と聞かされていたアメリ カが「自由の国」ではない事がわかり、アメリカのイメージは9.11をきっかけに私の中でワール ドトレードセンターの様に崩れた。
その後、9.11への報復の様な形で2003年に始まったイラク戦争でのアメリカは「自由の国」どこ ろか「警察国家」に見えた。湾岸戦争然り、歴史を読み返すと基からアメリカは「警察国家」だ った事が少しずつわかってきた私はナイーブだったと思う。ただ、やはりアメリカは日本と比べ て自由なところもある。Facebookのマーク・ザッカーバーグの様な若いスターが現れる可能性も あるからだ。日本では、かつて堀江貴文がそうだった様に目立つ人間は出る杭として打ち込まれ る風潮がある。9.11は私に「アメリカ」の実態を考えさせてくれた。まだ、アメリカに行った事 はないが推測で終わらない様、現地で「自由の国」を確かめたい。